栁良一税理士事務所

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HOME コラム 【事業承継】事業承継の3つの類型

2018.03.30

【事業承継】事業承継の3つの類型

事業承継には、
1.親族内承継
2.役員・従業員承継
3.社外への引継ぎ(M&A等)
の3つの類型がある。

1.親族内承継
現経営者の子をはじめとした親族に承継させる方法である。一般的に他の方法と比べて、内外の関係者から心情的に受け入れられやすいこと、後継者の早期決定により長期の準備期間の確保が可能であること、相続等により財産や株式を後継者に移転できるため所有と経営の一体的な承継が期待できるといったメリットがある。

2.役員・従業員承継
「親族以外」の役員・従業員に承継する方法である。
経営者としての能力のある人材を見極めて承継することができること、社内で長期間働いてきた従業員であれば経営方針等の一貫性を保ちやすいといったメリットがある。

従業員承継を行う場合の重要なポイントとして、親族株主の了解を得ることが挙げられる。現経営者のリーダーシップのもとで早期に親族間の調整を行い、関係者全員の同意と協力を取り付け、事後に紛争が生じないようしっかりと道筋を付けておく

3.社外への引継ぎ(M&A等)
株式譲渡や事業譲渡等(以下、「M&A等」という)により承継を行う方法である。親族や社内に適任者がいない場合でも、広く候補者を外部に求めることができ、また、現経営者は会社売却の利益を得ることができる等のメリットがある。

親族・社内に適切な後継者がいない場合は、まずは国の事業引継ぎ支援センターに無料で相談することができるので活用をお勧めする。M&A等によって最適なマッチング候補を見つけるまでの期間は、M&A対象企業の特性や時々の経済環境等に大きく左右され、数ヶ月~数年と大きな幅があることが一般的である。相手が見つかった後も数度のトップ面談等の交渉を経て、最終的に相手側との合意がなされなければM&A等は成立しない。このため、M&A等を実施する場合は、十分な時間的余裕をもって臨むことが大切である。

どのような承継方法を取ろうとも共通して言えることは、現経営者には、事業承継を行う前に、経営力の向上に努め、経営基盤を強化することにより、後継者が安心して引き継ぐことができる経営状態まで引き上げることが求められているということである。

また、事業承継を円滑に進めるためには、現経営者が自らの引退時期を定め、そこから後継者の育成に必要な期間を逆算し、十分な準備期間を設けて、後継者教育(技術やノウハウ、営業基盤の引継ぎを含む)に計画的に取り組むことが大切である。

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