2018.03.31
【事業承継】後継者に引き継ぐべき3つの経営資源
後継者に承継すべき経営資源は多岐にわたるが、
1.人(経営)
2.資産
3.知的資産
の3つに大別される。
1.人(経営)
人(経営)の承継とは、後継者への経営権の承継を指す。会社形態であれば代表取締役の交代、個人事業主であれば現経営者の廃業・後継者の開業によるものと考えられる。現経営者が維持・成長させてきた事業を誰の手に委ねるべきか、適切な後継者の選定は事業承継の成否を決する極めて重要な問題である。特に、中小企業においてはノウハウや取引関係等が経営者個人に集中していることが多いため、事業の円滑な運営や業績が経営者の資質に大きく左右される傾向がある。
親族内承継や従業員承継において、後継者候補を選定し、経営に必要な能力を身につけさせ、また後述する知的資産を含めて受け継いでいくには5年から10年以上の準備期間が必要とされ、これらの取組に十分な時間を割くためにも、後継者候補の選定は出来るだけ早期に開始すべきである。
2.資産
資産の承継とは、事業を行うために必要な資産(設備や不動産などの事業用資産、債権、債務であり、株式会社であれば会社所有の事業用資産を包含する自社株式である。)の承継を指す。会社形態であれば、会社保有の資産の価値は株式に包含されるので、株式の承継が基本となる。他方、個人事業主の場合は、機械設備や不動産等の事業用資産を現経営者個人が所有していることが多いため、個々の資産を承継する必要がある。
3.知的資産
知的資産とは、「従来の貸借対照表上に記載されている資産以外の無形の資産であり、企業における競争力の源泉である、人材、技術、技能、知的財産(特許・ブランドなど)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなど、財務諸表には表れてこない目に見えにくい経営資源の総称」である。
中小企業においては経営者と従業員の信頼関係が事業の円滑な運営において大きな比重を占めていることが多い。そのため、経営者の交代に伴ってかかる信頼関係が喪失することで、従業員の大量退職に至った事例も存在する。このような事態を防ぐためには、自社の強み・価値の源泉が経営者と従業員の信頼関係にあることを後継者が深く理解し、従業員との信頼関係構築に向けた取組を行う必要がある。